アニメ感想 薬屋のひとりごと2期

後宮ミステリー【薬屋のひとりごと アニメ2期】第3話 感想ネタバレ|静妃の死と毒キノコの真相

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01 第3話『冬人夏草』 あらすじ

後宮で新たな騒動が起こる。静妃という中級妃の訃報がもたらされ、弔問の場で思いがけない事件が発生する。毒を巡る陰謀の影に見え隠れする女官失踪の謎。
猫猫は壬氏の命を受け、毒キノコ探しと並行して独自に調査を進めていく。

やがて浮かび上がってきたのは、“入れ替わった妃”と“もう一つの死”。巧妙に隠された真実の断片を、猫猫はひとつずつつなぎ合わせていく――。
浮かび上がる人の嫉妬と弱さ、そして知られざる愛憎劇。猫猫の冷静な観察力が、後宮に潜む謎を暴いていく第3話。

02 ネタバレ

執務室で書簡に目を通していた壬氏は、翡翠宮へ向かった。

その頃、翡翠宮では侍女頭の紅娘が玉葉妃に、下級妃・静妃の訃報を伝えていた。ここ1年ほど病床に伏していたが、死因は食中毒だったようだ。

そこへ、壬氏と高順が現れる。

猫猫は洗濯場へ洗濯物を持ち込んだ際に、同僚たちと地面に文字を書いている小蘭を見かけるが、真剣な表情だったため声を掛けずに医局へ戻る。
医局では、やぶ医者から一人の優秀な女官が行方不明になったと知らされる。どうやらその女官は年季明けを間近に控え、園遊会で将来有望な文官に見初められ、結婚の予定があったという。
行方不明の理由について心当たりはないが、後宮という特殊な環境では、人間関係に悩むこともあるだろう――というやぶ医者の意見に、猫猫も納得する。

猫猫が医局から翡翠宮へ戻ってくると、玉葉妃が壬氏とともに茶を飲んでいた。懐妊の事実はまだ公にはしていないため、こもりきりではかえって疑われる――そのための応対であると思われた。とはいえ、すでに気づいている者もいるだろう。
玉葉妃は猫猫に気づき、呼び止める。だが、用があるのは玉葉妃ではなく壬氏だった。「ここで話していいのよ」と言う玉葉妃を横目に、壬氏は「寵妃のもとに長居するわけにはいきません」と言って、猫猫を連れ出す。

壬氏の執務室――。
猫猫は、壬氏から女官たちのための手習所を新設する計画について相談を受ける。すでに小蘭ら下女たちの中には、大衆小説をきっかけに読み書きを学び始めている者もおり、猫猫はその事実を知っていた。壬氏の行動の早さに感心し、「良いと思います」と素直に賛同する。
その率直な反応に、壬氏と高順はショックに近い反応を見せる。これまで否定されることに慣れてしまっていた二人にとっては、あまりにも拍子抜けで落ち着かない様子だった。
猫猫は、この手習所が年季明け後の再就職にもつながるため、良い案だと考える。ただし、立地には問題があると指摘する。壬氏の計画では、後宮の南側の広場に設置を予定しているが、そこは正門に近く、上級妃や中級妃の目につきやすい。中には、気位が高く、下女への教育を快く思わない妃もいるはずだ。
それならば、北側にある使われていない建物を改修して利用するほうがよい、と助言する。また、読み書きが再就職の武器になること、さらにたまに菓子で釣れば通う者も増えるのではないかと提案するが、育ちのよい壬氏にはその感覚はあまり理解できないようだった。
猫猫が「話は以上でしょうか」と会話を締めくくろうとしたところで、壬氏は「この時期になると、勝手にキノコを採って食中毒になる者が出る」と話題を変える。猫猫が「食い意地の張った者は、どこにでもいますね」と返すと、壬氏はすかさず、猫猫が以前やぶ医者とともに、許可なくマツタケを採って医局でこっそり食べた件を持ち出す。猫猫にとっては、返す言葉もなかった。
続けて壬氏は、「間違えて毒キノコを食べぬよう、前もって採取し、その際にどのような毒キノコがあるかも教えてほしい」と依頼する。毒キノコの採取期間中は、翡翠宮での仕事は休みとなるようだ。壬氏に何か思惑があるのかもしれないが、猫猫は毒キノコ探しに心を躍らせていた。


猫猫は、さっそく毒キノコ探しに出ていた。後宮内でキノコが生えそうな場所は、花園・果樹園・松林の三か所。その中でも、人の出入りが少ない北側に目星をつけた。
予想どおり、地面や木にはさまざまな種類のキノコが生えており、猫猫にとってはまさに天国であった。――が、ふと鼻をつくツンとしたにおいに気づく。
確か、子翠が「北側で変なにおいがする」と言っていたのを思い出す。汚水が漏れており、それが栄養となってキノコがよく育っているのではないか――と、猫猫は考えた。

キノコを大量に収穫し、充実感に満たされながら翡翠宮へ戻ると、桜花が顔をしかめて出迎えた。
「猫猫、なんだか臭くない?」と、鼻をつまみながら言う。
薬として使えるキノコも採取できたため、猫猫は満足していた。採取した毒キノコについては、やぶ医者には毒キノコだと伝えたうえで、医局に置いてきたのだった。


猫猫は着替えを済ませ、玉葉妃のもとへ向かった。紅娘から、「夕げの後に出かけるので、同行するように」と告げられる。
玉葉妃と紅娘の手首には、黒紐が巻かれていた。高貴な者が亡くなったことを示すものである。

亡くなったのは、中級妃の静妃であった。翡翠宮を代表して紅娘が弔問に向かうこととなり、猫猫はそれに同行した。その道すがら、紅娘は静妃の生い立ちや人柄について語ってくれた。
静妃は、ここ一年ほど体調を崩して部屋に閉じこもり、最後は食中毒を起こして亡くなったという。帝のお手つきもなかったのだから、実家に帰ればよかったのに――と、珍しく紅娘の口調が鋭かった。その理由は、静妃という人物の性格にあったらしい。妃や女官に対する嫉妬心が強く、下女に手を上げることもあったという。
そんな折、鈴麗公主を身ごもっていた玉葉妃が毒を盛られる事件が起きた。後に壬氏がその件について静妃と話をしたようだが、証拠はなく、疑惑止まりで終わったという。しかし、それ以降、静妃付きの侍女たちは肩身の狭い思いをしていたらしい。玉葉妃のことを思えば、今回の件でほっとしてしまった――と、紅娘は本音をこぼす。
猫猫は、静妃の死因である「食中毒」、そして壬氏から依頼された「毒キノコ」の話が重なり、一つの疑問を抱く。なぜ、壬氏は翡翠宮でその話をしなかったのか。

――それは、毒キノコによって静妃を殺したのが翡翠宮の人間だと疑っていたからではないか。

壬氏は玉葉妃に肩入れしているように見えたが、実際には各妃に対して公平に接していた。そのことが猫猫には意外だった。ただ、玉葉妃が中級妃を貶めようとするなら、もっと簡単な方法があるはずだし、翡翠宮の侍女たちは陰謀に向くような性質ではない。と、いうことは…。

――「疑われているのは私か!」
そう考えると、むしろ感動すら覚える猫猫であった。

やがて、献花の順番が猫猫に回ってきた。静妃の侍女が、一輪の百合の花を手渡してくれる。その手がひどくただれていたのが気になった。献花を捧げながら、猫猫は「せめて生前に、どんな症状があったのか聞ければよかったのに」と思った。
献花を終え、建物を出ようとしたそのとき、一人の女が駆け込んできた。そして、祭壇をひっくり返し、静妃に掛けられていた布をはぎ取った。すると、静妃の亡骸があらわになる。髪は抜け落ち、顔は大きくただれていた。その凄惨な姿に、弔問客たちの悲鳴が上がる。
侍女たちがその女を「宗妃(ソンヒ)」と呼ぶ中、宗妃は高らかに笑いながら、自身の顔に巻かれた包帯をもはぎ取り、亡骸に向かってこう吐き捨てた。

「自業自得だな」

そう罵る宗妃のその顔もまた、静妃と同じく、ひどくただれていた。

――「なるほど」。
猫猫は、壬氏が探していたものの意味を理解した。

翌朝、猫猫は再び後宮の北側にある松林を訪れていた。
昨夜、騒動を起こした女は、宗妃(ソンヒ)という下級妃であった。裕福な家の出身で、気立てもよく、帝のお手つきにもなっていたという。しかし、ちょうど二年前に原因不明の病にかかり、妃の座を退くことになった。ただし、帝の配慮により、後宮にとどまることを許されたようだ。
そして、宗妃が昨夜、亡き静妃に対して冒涜ともいえる行為に及んだのは、病の原因が静妃の仕業であったと確信していたからに違いない。
猫猫は、一つひとつの出来事を頭の中でパズルのように組み立てながら、松林の中を進んでいく。

――そして、ついに見つけた。
地面には細長い円柱がいくつも立っており、まるで土の中から手の指が突き出しているような奇妙な形状をしていた。その色は、艶やかで鮮やかな朱色。まさしく、毒キノコである。

猫猫は、医局に壬氏と高順を呼び出した。3人は、それぞれ口元を布で覆っている。
猫猫は箱を開け、北側の雑木林で見つけた猛毒のキノコを見せた。一片で致死量に達し、「触れるだけで、静妃や宗妃のように皮膚がただれる」と言いながら、袖をまくり上げる。そこには、かつて自らがそのキノコに触れてただれた痕が、今もなお残っていた。
「すぐに洗い流したが、跡になってしまった」と静かに言う猫猫。
そして壬氏に向かって問いかける。
「静妃が冒された毒を探していたのではありませんか?」
その言葉に、壬氏は観念したように口を開いた。

――2年前、宗妃が原因不明の病にかかり、毒物によるものではないかと疑われた。その際、最も疑われたのが静妃であった。
しかし、確たる証拠は得られず、調査は宙に浮いたままとなった。
ところが、それから1年後、今度は静妃にも同じような症状が現れた。おそらく、誰かに同じ毒を盛ろうとした際に、自ら触れてしまったのだろう。以降、静妃はまるで人が変わったように部屋に閉じこもるようになった。
月に一度、壬氏が様子を見に行っていたが、会話ができる状態ではなかったという。
気位の高い妃には、その姿は耐えがたかったのか――やがて、服毒自殺を図ったというのが、彼女に仕えていた侍女の証言である。

そその話を聞いた猫猫は、一つの違和感を口にする。
この毒キノコは、口にすれば腹痛・嘔吐・しびれを引き起こし、口腔内もただれる。しかし、顔全体にまで炎症が広がるような作用はない。
遺体の顔の炎症は比較的新しいもので、まるで毒キノコを直接こすりつけたように見えた。だが、もしそうであれば、静妃自身の手にその痕跡が残っているはずだ。ところが、彼女の手はきれいなままだった。
そのとき、猫猫は弔問の際に気になった「ある手」のことを思い出していた。
その様子を、壬氏は見逃さなかった。
「言いたいことがあるなら、言ってみろ」と、壬氏が問いかける。

――憶測で物を言ってはいけない。

それは、猫猫の養父の教えであった。
「数日ください。それと、力持ちで口の堅い宦官を数名、貸していただけませんか。確信はありませんが」と、猫猫は答える。

医局を出た壬氏と高順。
「小猫は、何を調べるつもりなのでしょうか」と高順が尋ねる。
「分からない」と壬氏は返す。だが、猫猫がすでに核心に近づいており、あとは証拠を固めるだけなのだと感じていた。

あれから猫猫は、後宮中を調べ歩き、さまざまな人々に話を聞いて回っていた。
数日後、猫猫は高順をはじめ数名の宦官とともに、再び北側の雑木林を訪れていた。しばらく歩いたのち、「着きました」と言って、猫猫はある場所で立ち止まる。その足元には、数本のキノコが生えていた。
「ここを掘ってください」
猫猫の指示を受け、高順と宦官たちが地面を掘り始める。
すると間もなく、強烈な臭気を放つ遺体が地中から現れた。
それが、猫猫の求めていた“証拠”であった。だが、こんなにも早くたどり着けるとは、猫猫自身、予想していなかった。

医局にて、壬氏が「装飾品から見て、遺体は静妃で間違いないだろう」と伝える。
事故か他殺かは不明だが、猫猫は「おそらく、1年前に病にかかったとされる時点で、すでに亡くなっていたのだろう」と推測する。遺体は林に埋められ、その後は別人が静妃に成りすましていたというのだ。
では、葬儀で晒された遺体は誰なのか――。
猫猫は、やぶ医者が心配していた行方不明の女官・涛(タオ)の似顔絵を取り出し、壬氏と高順に見せる。二人は言葉を失い、目を見交わす。静妃と驚くほどよく似ていたのだ。
猫猫は、後宮内での聞き込みから、涛の背格好も静妃と酷似していたという情報を得ていた。顔を包帯で覆えば、違いに気づくのは側近の侍女たちだけだろう。月に一度の面会であれば、壬氏の目をもごまかせたはずだ。そうなると、涛と静妃付きの侍女たちが共謀していたと考えるのが自然である。
「事情は分かりませんが」と言いながらも、猫猫は想像していた。

――きっかけは、自分によく似た女官が、優秀な文官との結婚を決めたことへの嫉妬だったのではないか。
自分は帝からも見向きもされない。なのに、あの女は…。
聞き込みでは、涛は静妃からひどく当たられていたという。
その中で、事故か事件かは不明だが、静妃が命を落とした。そして、侍女たちの誰かがその死を隠そうと提案したのだ。
保身か、それとも同情か。いずれにしても、涛は断れなかった。そして、身代わりとしての生活が始まった。だが、結婚話が現実味を帯びるにつれ、状況は悪化していった――。
そこまで思いを巡らせた猫猫は、そこで考えるのをやめた。

「しかし、どうして遺体の場所がわかったのか」と、壬氏が尋ねる。
猫猫は嬉々として答える。
「遺体が埋まっていたあたりに生えていたキノコは、動物の死骸や糞尿を栄養にする種類です。それが決め手でした。独特な腐臭の正体も、それだったのです」
その様子を見て、壬氏は無言で猫猫が収穫していたキノコをすべて没収してしまう。
「純粋な好奇心なのに…」
猫猫は肩を落とし、しょんぼりとうなだれた。
ふと視線を落とすと、籠からこぼれ落ちたキノコが目に入る。
それを見つめながら、猫猫はまたひとつ、想像を広げていた。

――もし、死体から生えるキノコがあるのだとしたら、それはどんな姿形をしていて、どんな効用を持つのだろうか、と。

03 伏線と考察

第3話、めちゃくちゃ見応えありましたね。
静妃の死をきっかけに、ただの「病死」では片づけられない、後宮の裏側がじわじわ見えてきてゾクっとしました。

最初は何気ない毒キノコ探しが、まさかここまで本格的な事件に絡んでくるなんて……。
毒、すり替わり、行方不明の女官。全部が最後にひとつにつながった瞬間は、鳥肌ものでした。

それにしても、猫猫の観察力と推理力には毎回驚かされます。
でも今回は「憶測で語らない」って姿勢がかっこよかった。養父からの教えだけど、そこに全幅の信頼が見てとれる。
壬氏とのやりとりも、相変わらず絶妙。

最後のキノコを見つめる猫猫のシーンも印象的でした。
ただの毒じゃなくて、人の感情とか業みたいなものまで見せられた気がします。

次回以降も新たな事件や猫猫と壬氏の関係がどう進むのか、目が離せない!

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